正直なうどん店
- 2018/11/22
- 19:27
H田は仕事で広告の営業マンをやっております。
H田はあまり口上手なほうではないですが、それでも長年営業マンなどやっておりますと、事をうまく運ぶためにいろいろと方便を駆使する習慣が身についてくるもので、正直一徹に生きているとは言えません。
いっぽう、美味しいうどんを食べさせてくれるお店の人は、本当に正直でいい人が多いと思います。
これは、首都圏でもトップクラスの美味しいうどんを食べさせてくれるお店でのお話。
ある日ある時、H田はよく行く都心のうどん店「A」(特に店名を伏せます)で昼飯を食べようと訪問しました。
平日の12時少し前、当然営業している時間です。いつもならこの時間、既に行列ができているはずです。
しかしながら、うどん店「A」の入り口には「営業中」の札も暖簾も出ておらず、店内に人が数人いるようですが明かりは消えたまま。
ガラスごしにのぞき込むと、大将のBさんがH田に気づいてこちらへやってきます。いつも店先でうどんを打ってる大将です。たびたび訪問している店なので、H田の顔は憶えてくれてます。その大将、引き戸をほんの少し開けて、申し訳なさそうにヒソヒソ声でH田に言うのです。
「すんません、ネズミが出まして・・・いま業者呼んでるとこですわ・・」
ネズミのせいで臨時休業、駆除が済むまで店を開けられないということのようです。
正直だなあ、「ネズミが出た」なんて客に言わなくていいのに。
H田ならたぶん「厨房の機械が故障しまして・・」みたいなことを適当に言ってごまかすところです。
ヘタに本当のこと言って「うどん店Aにネズミが出たらしい」なんてことがネットで拡散されたら客足が遠のくかもしれない、みたいなことを考えるはずです。
大丈夫です。H田は「A」のうどんが大好きなので、ネズミのことは自分の胸にしまっておきましょう。ふっふっふ。
さて、それとはまた別のある日ある時、H田はまたうどん店「A」を訪問しました。
この日は店は大盛況、しばらく並んだ後、H田はうどんにありつくことができました。
ダシを一口、「お?」
少し味が変わった。と感じました。ダシの旨味、まろやかさが少しなくなって、酸味がちょっとツンツンした感じ。
H田は帰りがけに店の主要スタッフCさんに質問しました。
「ダシ、少し変えました?」
するとCさん
「すいません、昆布変えまして。値段が合わなくなったので・・」
と申し訳なさそうに言います。
正直だなあ、「値段が合わなくなった」なんて客に言わなくていいのに。
H田ならたぶん「あ、気づいていただけました?ちょっといつもの昆布から変えてみたんですけど、どうです?良くなりました?」
みたいなこと言って話をポジティブなほうに持ってくと思います。
この正直なCさんは現在独立して、やはり都内有数のうまいうどん店の大将になっています。
本文と写真はとくに関係ありません。ふっふっふ。
【H田 記】
H田はあまり口上手なほうではないですが、それでも長年営業マンなどやっておりますと、事をうまく運ぶためにいろいろと方便を駆使する習慣が身についてくるもので、正直一徹に生きているとは言えません。
いっぽう、美味しいうどんを食べさせてくれるお店の人は、本当に正直でいい人が多いと思います。
これは、首都圏でもトップクラスの美味しいうどんを食べさせてくれるお店でのお話。
ある日ある時、H田はよく行く都心のうどん店「A」(特に店名を伏せます)で昼飯を食べようと訪問しました。
平日の12時少し前、当然営業している時間です。いつもならこの時間、既に行列ができているはずです。
しかしながら、うどん店「A」の入り口には「営業中」の札も暖簾も出ておらず、店内に人が数人いるようですが明かりは消えたまま。
ガラスごしにのぞき込むと、大将のBさんがH田に気づいてこちらへやってきます。いつも店先でうどんを打ってる大将です。たびたび訪問している店なので、H田の顔は憶えてくれてます。その大将、引き戸をほんの少し開けて、申し訳なさそうにヒソヒソ声でH田に言うのです。
「すんません、ネズミが出まして・・・いま業者呼んでるとこですわ・・」
ネズミのせいで臨時休業、駆除が済むまで店を開けられないということのようです。
正直だなあ、「ネズミが出た」なんて客に言わなくていいのに。
H田ならたぶん「厨房の機械が故障しまして・・」みたいなことを適当に言ってごまかすところです。
ヘタに本当のこと言って「うどん店Aにネズミが出たらしい」なんてことがネットで拡散されたら客足が遠のくかもしれない、みたいなことを考えるはずです。
大丈夫です。H田は「A」のうどんが大好きなので、ネズミのことは自分の胸にしまっておきましょう。ふっふっふ。
さて、それとはまた別のある日ある時、H田はまたうどん店「A」を訪問しました。
この日は店は大盛況、しばらく並んだ後、H田はうどんにありつくことができました。
ダシを一口、「お?」
少し味が変わった。と感じました。ダシの旨味、まろやかさが少しなくなって、酸味がちょっとツンツンした感じ。
H田は帰りがけに店の主要スタッフCさんに質問しました。
「ダシ、少し変えました?」
するとCさん
「すいません、昆布変えまして。値段が合わなくなったので・・」
と申し訳なさそうに言います。
正直だなあ、「値段が合わなくなった」なんて客に言わなくていいのに。
H田ならたぶん「あ、気づいていただけました?ちょっといつもの昆布から変えてみたんですけど、どうです?良くなりました?」
みたいなこと言って話をポジティブなほうに持ってくと思います。
この正直なCさんは現在独立して、やはり都内有数のうまいうどん店の大将になっています。
本文と写真はとくに関係ありません。ふっふっふ。
【H田 記】
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